約束された土地、マルターディンゲン村
フーバー醸造所の歴史は、フーバーさんと13世紀の1冊の古文書との出会いから始まります。
文献によると、ライン河を渡りゲルマンの地に布教に来たフランスのシトー派の僧侶が、マルターディンゲン村にピノ・ノワールを持ち込んだことが記載されていたのです。ピノ・ノワールがこの地に根付き、村名を取って「マルターディンガー」と呼ばれ、海外への輸出品として活躍していたそうです(今日でもワイン辞典に「マルターディンガー」は記載されています)
700年前、フランスの僧侶にピノ・ノワール種の栽培の地として選ばれたマルターディンゲン村。その最大の要因は、彼らの故郷であるブルゴーニュ地方に風土や土壌が酷似していたことです。土壌は貝殻石灰岩の風化土壌。太古の昔、海であったこの地は、少し掘り起こすと独特の色合いの土壌が露出し、赤ワインに欠かせない複雑味をもたらすといわれています。
フーバー醸造所が所有する特級畑
マルターディンガー ビーネンベルク
フーバーさんの本拠地の醸造所があり、畑の面積が一番大きいのが、マルターディンガー村の「ビーネンベルク」。
畑の名前を直訳すると「蜂の丘」になり、昔から日当たりが良く、色々な草花が生えている丘のため、ミツバチの飼育をしていたことからこの名前が付きました。もちろん昔から、ブドウの樹が栽培されています。
この村のブドウの樹は、ほかの畑と比べて樹齢の高いのが特徴です。この日当たりの良い畑の、古木から造られたワインは、優しくて複雑性に富んだ味わいに仕上がります。
ボンバッハー ゾンマーハルデ
マルターディンゲン村の北東、ボンバッハ村にある特級畑が、「ゾンマーハルデ」です。
こちらの畑はシュヴァルトヴァルト(黒い森)の裾野にあたり、他の畑より標高が高く、また黒い森から降りてくる冷気もあるため、最も涼やかな畑になります。よって、ブドウの成熟期間がほかの畑より長くなるため、香りのきれいな、果実味と酸のバランスが取れたエレガントなワインに仕上がります。
ヘックリンガー シュロスベルク
マルターディンゲン村の西、ヘックリンゲン村の特級畑、シュロスベルク。
二十数年前、ベルンハルトさんが開墾した、真南向きの、最大約70度になるバーデンでは珍しい急斜面の畑です。他の特級畑と違い、白くて硬い石灰岩が隆起してできた山です。
表土がかなり少なく、水はけも良いので、粒の小さいブドウが取れます。根が地中深くまで伸び、白い石灰岩の地層より色々な成分を吸収するため、少し塩味のようなミネラルを感じるのも特徴です。タンニンも果実味も香りもしっかりした、硬質なワインに仕上がります。ヴィルデンシュタイン
ビーネンベルクの中に含まれる小さな区画(赤茶色の部分)ヴィルデンシュタイン。
シトー派の修道士が布教に来た際に、この土地を見て「ブルゴーニュのミュジニーのような土地がある」と喜び、ブドウ栽培を始めた場所だといわれています。
ビーネンベルクの中でも、丘の中腹にある、南西向きの非常に日当たりの良い場所に畑があります。表土もほとんどない場所に樹齢50年を超える古木が植わっており、まさにフーバー醸造所を代表するワインが生まれるのにふさわしい地と言えます。エレガントで果実味のしっかりした、長期熟成が十二分に期待できるワインに仕上がります。